小売業界におけるDXとは?課題から取り組み事例まで徹底解説

様々な業界でDX(デジタルトランスフォーメーション)の重要性が問われ、取り組みが活性化しています。

このような中、新型コロナウイルスの蔓延により小売業界は大きな影響を受けました。

消費者の消費行動が大きく変化したことにより、小売業界もDX推進により、ビジネスモデルの変革が求められています。

今回は、小売業界におけるDXについて現状の課題と実際の取り組み事例を解説していきます。

小売DXとは

小売DXは、デジタル技術を活用し、業務の効率化を図るだけでなく変化する顧客のニーズに対応し、新しい商品やサービスを提供することでビジネスモデルの変革を実現することを目指します。

デジタルツールを利用し、在庫管理などの業務を効率化するだけではDXとは言えません。

ツールからデータ収集・分析することで新たな商品、サービスを生み出し顧客に新しい価値を提供することがDXを推進する本来の目的とならなくてはいけません。

小売業界の現状と課題

小売業界の主な課題は以下の2点です。

  • 消費者行動の変化への対応
  • 顧客データの活用

消費者行動の変化への対応

変化する消費者の行動に対応することが小売業界の大きな課題の一つです。

近年のスマートフォンの普及により、消費者は膨大な量の情報を簡単に取得することが可能になりました。

更に、新型コロナウイルスの蔓延による外出自粛の影響により実店舗でモノを買うことが少なくなりました。

これらの影響により、ECサイトでの購入が増加し一般化されました。

※NRI:生活者1万人アンケート(9回目)にみる日本人の価値観・消費行動の変化
-コロナ禍で、日本の生活者はどう変化したか-

NRIの調査結果からも、ECを利用している人は年々上昇していることが分かります。

また膨大な情報を取得できることにより、自分が気に入った付加価値に対価を払う「プレミアム消費」と、お気に入りを安く買う「徹底探索消費」のこだわり志向の消費者が増えています。

※NRI:生活者1万人アンケート(9回目)にみる日本人の価値観・消費行動の変化
-コロナ禍で、日本の生活者はどう変化したか- P38

こうした変化する消費者行動にいかに対応できるかが、小売業界の課題となっています。

顧客データの活用

小売業界において、顧客データの活用も課題となっています。

消費者の購買行動が変化する中で、顧客のニーズを把握するためにもデータの収集・分析が必要不可欠です。

特に一般化されたECでは、顧客がどんな情報を見て、どうアクションしたか、というデータはマーケティングを行う上では欠かせません。

しかし現状は、データ収集が十分にできていないことや収集したデータの活用ができていないケースがあったり、実店舗とECサイトの連携が不十分でデータ活用できていない状況があります。

この課題を解決することで、顧客のニーズに対応した新たな商品やサービスを提供することが可能になります。

小売DXにより実現できること

小売DXを推進することにより、実現できることを紹介します。

デジタルツール活用による業務効率化

デジタルツールを活用することで、様々な業務の効率化を図ることが可能です。

効率化が図れる業務の主な例はこちらです。

  • 在庫管理

AIを活用することで、在庫管理の自動化、省人化だけでなく在庫状況から需要予測まで可能となります。

  • 人材育成

デジタルツールを活用することで、研修のオンライン化や業務マニュアルなどの電子化が可能となり、効率的な人材育成ができます。

  • 勤怠管理

様々な雇用形態の従業員を管理するために複雑になっている勤怠管理もデジタルツールを導入することで、勤怠管理における作業を一元管理することが可能です。

  • 単純な事務作業

RPAツール(定型作業をロボットで自動化するソフトウェア)を活用することで、単純作業を自動化することができます。

  • 店舗運営

AIとセンサ付きカメラを導入することで、店舗内の商品情報をリアルタイムで確認することが可能となります。

このように、デジタルツールを活用することでさまざまな業務の効率化を図ることができます。

業務の効率化を図ることで、顧客満足度の向上や従業員の労働環境の改善、コスト削減につながります。

OMOの活用

OMO(Online Merges with Offline)とは、オンラインとオフラインを融合させたマーケティング手法です。

OMOを活用することで、ECと実店舗の顧客データを一元管理し、店舗での購買データから顧客のニーズに合った商品をECでおすすめすることが可能です。

これにより、顧客はストレスのない購買体験ができ顧客満足度の向上、売上向上につながります。

小売DXを推進する企業のサービス事例

小売業界のDXを推進に取り組んでいる企業のサービスを紹介します。

株式会社サイバーエージェント

株式会社サイバーエージェントでは、最適な店舗集客の提案やIoTデバイスを活用した購買促進など、小売業界におけるDX推進の支援をしています。

ここでは、小売企業向け「LINEミニアプリ」開発パッケージを紹介します。

※株式会社サイバーエージェント:https://www.cyberagent.co.jp/news/detail/id=25545

LINEミニアプリ※1を導入可能な小売企業向けのサービスです。。

※1LINEミニアプリとは、LINEアプリ上で企業のサービスを提供可能にするウェブアプリケーションです。

パッケージには、

  • お知らせ配信
  • クーポン配信
  • チラシ配信
  • 会員証/ポイントカードの発行
  • お気に入り店舗登録

の機能を搭載しており、企業ごとに追加の機能開発支援も行います。

自社アプリの重要性が高まっている反面、アプリ開発はハードルが高いという課題を解決できるサービスとなっています。

LINE上で完結できることで、潜在層へのアプローチを有効的に行うことができます。

また、すでに自社アプリを保有している企業の並行した使用も可能であり、顧客の利便性向上にもつながります。

株式会社TOUCH TO GO

株式会社TOUCH TO GOでは、最先端のIT技術やデバイス開発力、オペレーションノウハウを活かし省人化・省力化を実現するシステムソリューションを提供しています。

2020年には高輪ゲートウェイ駅改札内に無人決済コンビニ「TOUCH TO GO」をオープンさせ、ファミリーマートやBECK’Sなどにもシステム提供をしています。

※株式会社TOUCH TO GO:https://ttg.co.jp/product/

提供しているサービスはこちらです。

コンビニ型無人決済店舗システム:TTG-SENSE

  • 極小店舗向け無人決済店舗システム:TTG-SENSE MICRO
  • 次世代無人オーダー決済端末 :TTG-MONSTAR
  • ゲート制御型入管システム:TTG-GATEWAY

無人決済システムでは、カメラやセンサーからデータを取得、解析することでお客様の動きや商品の動きをリアルタイムで把握します。

お客様は商品をスキャンする必要はなく、会計ゾーンに立つだけで自動で商品の明細が表示され、支払いをします。

専用のアプリなどは必要なく誰でも、現金・交通系IC・クレジットカードなどで支払うことが可能です。

このシステムを導入することで、店舗運営の省人化を可能にし、人件費などのコスト削減や労働力不足の解消につながります。

株式会社スマレジ

株式会社スマレジでは、0円から始められるクラウドPOSレジ「スマレジ」を提供しています。

業種問わず導入が可能で、2022年3月時点で10万以上の店舗で利用されています。

※スマレジ:https://smaregi.jp/

機能も豊富で、レジ機能だけでなく、売上分析や在庫管理、顧客管理も可能となっています。

(プランによって使用できる機能が異なります。)

スマレジを導入することで店舗運用のデジタル化が図れ、業務の効率化につながります。

小売DXの店舗導入事例

実際の店舗で導入されている事例を紹介します。

株式会社ローソン

ローソンは日本マイクロソフトと協業し店舗におけるDXの取り組みを行っています。

店舗内にカメラやマイクを設置し、データ(売り場の通過人数、滞留時間、棚の接触時間、商品の購入率など)を収集し、個人が特定されないように可視化し、POSとのデータと合わせて分析を行います。

分析データを参考にし、棚の配置や商品の位置を各店舗に合わせて変更し、顧客の利便性の向上と売上向上につなげます。

限定店舗から導入を開始し、全国の店舗へ拡大を目指しています。

参考:https://www.lawson.co.jp/company/news/detail/1444460_2504.html

イオンリテール株式会社

イオンでは2020年より、“レジに並ばない”お買物スタイル「レジゴー」を展開しています。

レジゴーは、専用スマートフォンでお客様が直接商品のバーコードをスキャンし、専用レジで会計するサービスです。

スキャンした商品を持って、専用のレジでバーコードを読み取るだけですぐに会計ができるので、レジ待ちの時間をなくすことが可能となります。

また専用アプリにおすすめ機能も追加される予定で、より顧客の利便性を高めることを目指しています。

参照:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002064.000007505.html

三越伊勢丹ホールディングス

三越伊勢丹ホールディングスでは、オンライン接客サービスが利用できる「三越伊勢丹リモートショッピングアプリ」を提供しています。

三越伊勢丹リモートショッピングアプリでは、店頭で取り扱う商品を見ることができ、気になった商品はチャットやビデオ通話で販売員の接客を受け、購入することが可能です。

消費者は実際に店舗に足を運ばなくてもよいので感染リスクを無くしつつ、リアルな購入体験をすることができます。

参照:三越伊勢丹ホールディングス

まとめ

今回は小売業界におけるDX化について解説しました。

ECサイトの一般化により、店舗ビジネスは縮小傾向にあります。

変化の激しい市場において、小売業界のDX化は必要不可欠となっています。

目指す目標を明確にし、1つ1つ課題を解決していくことがDX推進を成功させることにつながるでしょう。